2020年4月8日更新
東京都など七都府県に緊急事態宣言が出されました。
私の取引仕事先でも、宣言を受けて、4月末まで(実質的に大型連休明けまで)在宅勤務とするところが出てきました。
在宅・テレワークで注意すべき点(特にセキュリティ)に関する記事がこちらにありましたので、参考までに。
新型コロナウイルスにより、在宅勤務やテレワークをする人/せざるをえない人が急増しています。
会計や事務系のデスクワークでは、データにアクセスできさえすれば、毎日通勤しなくても仕事は可能という職種も少なくないので、これをきっかけに「地方では都市部へ」「全国では東京へ」という、社会全体の一極集中傾向に多少は変化が生じるかもしれません。
日本は先進国のなかで群を抜いて生産性が低いということは広く知られるようになってきました。通勤ラッシュが減るだけでも、生産性向上に役立つ可能性はあります。
どんな状況でも、何かしらプラスになりうるものを見つけようという姿勢は大切でしょうね。
田舎に住みながらネットを利用して仕事(翻訳)をしてきて、究極のテレワーク(!?)と言われたりして、いろいろ照会も受けているのですが、なにしろ
- インターネットを活用した電脳田舎暮らしについての本を出したのがほぼ20年前
- その改訂版を電子書籍として出したのも5、6年前
- そして、20年前に最初の紙の本を出してくれた出版社も、出版不況でとうとう今年消滅、、、
そういうプライベートはともかくとして、「情報は鮮度が命」です。
しかも「最先端かつ最新の情報から古くなっていく」というのも真理で、それはファッションや音楽、流行語の変遷を見ているとよくわかりますよね。
逆に、なかなか古くならない、古びた感じがしないのは、人生観や生き方といった、もっとも人間くさいところでしょうか。
というわけで(?)、現在(2020年春)の電脳田舎暮らしはどうなっているのかについて、ここで現状をざっと整理しておきます。
ここに書いているようなことは、もう時代の最先端とかハイテクということではないし、「とんがってなくて普通」だと思いますが、それだけデジタルの技術と社会がなじんできたということでしょう。少なくとも最先端であることに意味がある時代ではなくなった、つまり社会全体がデジタルの技術に関して成熟してきたということを意味しているのかもしれません。
一度にすべてを詳細に説明する時間の余裕もないので、少しずつ追加していく予定です。
1. ネット環境
インターネットに繋がらなければ何も始まらない(仕事ができない)ので、何はともあれ、
- 光ケーブルによる WIFI 環境
有線の光ケーブルなので、これは東京でも田舎でもまったく条件は同じですね。
私の場合は、戸建ての2階が仕事場で、そこにルーターを設置。
門を出て5~10mくらいで電波が切れる感じかな。
- 外出時はスマホとは別に契約したデータ通信用のSIMを使ったモバイルWifiルーターを使用。
以前はタブレットにも個別にSIMカードを使っていたりしたのですが、ネットにつなぐデバイスの数も増えてきたので、今はモバイルWifiのルーターを持参し、出先ではそれを経由してネットにつないでいます。
現在のモバイルWifi ルーターは2代目で、普段は、第二の仕事場としても使っている海上係留のヨットに置いてあります。
ソーラーパネルで常時フル充電されているので、車で出かけるときなどは、それを外して持参します。
船尾にやぐらを組んで100Wのソーラーパネルを設置してあります。
こちらはソーラーパネルからの電流をバッテリー1とバッテリー2に充電するコントローラー。
B1(エンジン始動用)もB2(照明や計器用)も電圧は13Vを超えていますね。
この状態で充電はコントローラーにより停止されています(12.8Vで満充電)。
バッテリーは車用ではなくゴルフカートなどでも使用されている密閉型のメンテナンスフリータイプなので、少し高めの電圧でないと充電できません。
ソーラーパネルからの電圧は開放回路(負荷をかけていないとき)で20V前後、充電を開始すると(閉回路)17V程度の電圧がバッテリーにかかります。
これはたまたまヨットですが、乗用車やキャンピングカーでも同じようにできますね。
写真に写っていませんが、このコントローラからUSBケーブル経由でルーターにも電源を供給します。
携帯用ルーターを忘れたり、船まで行く時間がないときは、スマホのテザリング機能でパソコンやタブレットをネットに接続しますが、その場合、スマホのバッテリーが急激に減るので、予備充電器は必須です。
ネット環境で一番重要なのは、データをどこに保管するかですね。
家でも出先でも、作業用のデータファイルが利用できなければ意味がありません。
- 仕事用のファイルはオンラインストレージ に置いています。
Dropbox がその代表でしょうか。
似たようなサービスも多いので、使いやすいものを選択すればよいと思いますが、どこにいても、どのマシンを使っていても、ネットに接続してアクセス可能な状態を作り出すことがポイントで、これは必須条件ですね。
USBやSIMカードのような記憶媒体を持ち歩くのは、盗難、紛失やセキュリティ関連の危険があるため、やめた方がよいでしょう。
企業の場合、情報漏洩やセキュリテイ、コンプライアンスなど、関連する社内規定でむずかしい場合もあるでしょうが、このあたりは社内のIT部門/担当者の腕の見せどころでしょうか。
2. 仕事場とハードウェア
7畳ほどの洋間の中央に、畳一枚くらいの自作の机。
ここにパソコン(Windows 10)2台(デスクトップとノート)。
別のPCデスクにマックのノート2台(MacBook ProとAir)。
Windows パソコンのデスクトップとノートは、以前はNECと東芝の製品を使っていましたが、不要なおまけのソフトてんこ盛りだったので、現在はいずれも Dell 製にし、こちらは実務翻訳と呼ばれる仕事用(専門は法規、法律、契約書などの英訳/和訳)です。
ノートは椅子に座って使用しますが、座業の運動不足解消を兼ねて、デスクトップの方は大きな机の上に小さな自作の台を載せてキーボード置き、こちらは立って操作しています。
Macは食べていくための仕事以外の、どちらかといえば趣味的な作業用です。
Airはバッグに入れておいても苦にならないサイズなので、バックパックに入れて里山に登り、頂上で使ったりもできるので重宝します。
以前は出先では iPad +キーボードで原稿を書いたりしましたが、二つ持ち歩くくらいならAirで十分。
一番下の黒くて大きいのがMacBook Pro、その上が MacBook Air、一番上が iPad Air
仕事場代わりのヨットには、パソコンとタブレットを各1台。
こちらは古くなって毎日の仕事にはちょっとというマシンの余生!?
電子海図を表示させて現在位置を確認したり、ブラウザやメールの閲覧用。
以前はWindows のOSが次々に変わるので、PCもそれに合わせて比較的短いスパンで買い替えていましたが、Windows もアプリも成熟してきているので、買い替える頻度はぐっと少なくなりました。
- パソコンとルーター以外では、モノクロのインクジェットプリンタ1台と、固定電話/スキャナ/コピー機を兼ねたカラー複合機1台。
仕事は文書作成がほとんどなので、パソコンの画面上で大半の作業を完結させることは可能なのですが、紙に印刷して最終チェックするのが体に染みついた習慣になっていて、やめられません。
というか、句読点「 , 」 と「 、」、「 . 」 と「 。」、「 ゛」と「 ゜」など、画面ではうっかり見落とすこともあります。
理系文書では 小数点や桁数で「 , 」 と「 . 」の違いは致命的になるし、欧米と一口に言っても、ヨーロッパ諸国は小数点を日本やアメリカと違って 「 . 」 ではなく「 , 」 で表したりするので気が抜けません。
アメリカには「文書業務削減法」(Paperwork Reduction Act) なんて法律までありますが、こちらはなかなか紙の消費を減らすことができません。
パソコン以外のタブレットも使用頻度が高く、iPad、android系のタブレット、電子ブック用のキンドル(汎用タブレットとして使えるFire HDと読書専用のPaperwhite )など、新旧取り混ぜて結構な数がありますが、こちらは本業以外の用途(サイトの閲覧、SNS、読書、趣味)が主なので割愛。
とはいえ、古いもの(アプリの更新、新規インストールができなくなったもの)、たとえば初代のiPadなどはとにかく分厚くて重く、それが弱点でしたが、ラジオや音楽の再生専用と割り切れば、逆にそれが長所になります。
モバイル・デバイスは小さくて軽いほど携帯に便利なのですが、逆に小さいほど音が軽く安っぽくなりますよね(音は空気の振動という物理現象なので、絶対的なサイズ・重量がものをいう)。
普通のタブレット以外では、画像を扱うためのペン・タブレットとスタイラス・ペンをMacBook Proに接続し、お遊び程度に使っています。
3. 使用しているソフトウェア
普段よく使っているソフト/アプリをリストアップしておきます。職種によって全然違ってくるでしょうが、文書作成が主な業務の参考例です。
- マクロソフトオフィス
定番のWord、Excel、PowerPoint。
pdfファイルでもらった原稿をそのまま英訳/和訳し、レイアウトも忠実に再現して提出することもあれば、テキストファイルで訳文のみ納品することもあります。
これは相手の用途に合わせる必要があるので、こちらに選択肢はないですね。
Wordは、英文のスペルチェックに使うこともあります。
とはいえ、Wordに組み込んである語彙は一般的な用語だけで少ないので、少し専門的な用語が頻発する文章になると「スペルが変」という赤の下線も頻出し、閉口したりもします。
Word とpdfファイルでは2つのファイルを比較する機能が便利ですね(差分翻訳では必須です)。
Excel は本来の表計算だけでなく用語集や規則等をまとめるために使っている企業も結構あります。
Excelファイルで用語集の指定を受けたりもするのですが、Excel でいちいち検索するのは時間がかかってやってられないので、csvファイルとして出力し、テキストエディタで検索することが多いです。
- テキストエディタ
テキストファイルにしておけば、何万行もある用語集やプログラムでも、ほぼ一瞬で検索できます。
Windows では秀丸という、今となってはちょっと古いエディタを、現在も結構な比率で(用語集の検索に特化して)使っています。とにかく起動も早く操作も軽いので、パソコンに一つ入れておくと便利です(有料ですが)。
左に原文(pdfファイル)、右に訳文(ワードファイル)
下は左が電子辞書(英辞郎で有名なPDIC、右が用語集(秀丸エディタ)
ごちゃごちゃしてますね。原文は紙に印刷してパソコンに左側に置くことも多いです。
Windows とMac の両方を使っていると、ソフト/アプリも同じものを使いたくなるので、テキストエディタとしては両方で使えるVS Codeも使っています。こちらは高機能で、プログラムや html ファイルをガンガン書く人にはお勧めですが、非力なマシンでは、起動を含めて、ちょっと重い(遅い)ですね。
html の簡易版としてマークダウン (md)もかなり浸透してきましたが、このマークダウンに特化したエディタがTypora
最近はちょっとメモするのも、このアプリが多くなってきました。
軽いし、Windows でもMac でも使えて、しかも無料です。この文章も Typora で書いています。
ただ、Windows版とMac版ではメニューの中身がちょっと違っています。
Windows 版では「名前をつけて保存」で同じような形式の文書のコピーが作れますが、Mac版にはこれが見当たらないんですね。よく使う機能なので、いろいろ調べてみると、[Option] キーを同時に押すことでメニューに「別名で保存」という機能が出てくるようです。
- メモ/文書作成
- EvernoteとOneNote
Evernote はかなり長く使っています。かつては有料プランを契約し、メモでもウェブサイトの気になる記事でも、手当たりしだいに放り込んでいました。
データ量が増えるにつれて(特にウェブページの保存が増えるにつれて)、起動に時間がかかるようになり、もたもたしてきたので、(Webデータ以外の)大半のデータを OneNote に移し、無料プランに切り替えました。
その後、無料プランはデバイス2個までと制限がかかったので、全面的にOneNote に移行しました。
Evernote は今ではオンラインのログイン用のIDやパスワードなどのデータだけ入れておいて、忘れたときにスマホで確認する程度です。
Webデータは、しばらくすると消えているものもあるので、必要なものは保存する必要がありますが、ブラウザの印刷機能で pdf ファイルとして保存できるので、今はこの方法を使っています。
- 文章作成
メモ程度のものは OneNoteやTyporaで十分すぎるほどですが、単行本になるような分量の文章や論文、連載物などには、それ専用のソフトを使う方が楽です。
Scrivenerもかなり長く使っています。
多機能なソフトで(それだけ Word 並みに重い)解説本も出ているので、ここでは「困った」点だけを少し。私はWindows版、Mac版、iPad版をそれぞれ有料で購入してインストールしているのですが、Mac版をバージョンアップしたところ、Window版との互換性がなくなってしまいました。
ソフト/アプリのバージョンアップでは上位互換性は確保されている(旧バージョンのままでも普通に読み書き保存できる)ものですが、これはそうなっていないんですね。Windows版は別のチームが開発しているようで、MacでWindows版は読めるが、その逆ができなくなってしまいました。
まあ、Windows版用のバージョンで出力する機能はあるのですが、それをWindows版で読みこんで変更すると、今度はMac版でファイルのエラーとなって使えない、、、バージョンアップをやめて元に戻したくてもできないし、いまどき、有料でこんなソフトがあるのか、という不親切な出来です(企業規模が小さいので、開発の人的、資金的資源が乏しいのでしょう)。
Windows版もバージョンアップの予定が告知されていますが、一年以上も延期、延期が続いています。
とはいえ、WindowsとMacの両刀使いでなければ、論文や本の執筆を考えている人には悪くない選択肢と思います。
- アウトライナー
発想法とかブレインストーミングでアウトライナーが脚光を浴びた時期がありましたね。私も workflowyやDynalist、Mindmap など、話題になったソフト/アプリは一通り使ってみましたが(けっこう新し物好き)、今はほとんど使っていません。むしろ、ホワイトボードや紙カードのメモに戻りました。根がアナログなのかもしれません。iPad air + キーボードと5×3インチのカードの自作ジョッター自作ジョッターといっても、飲食店で注文を書き込むプラスチックのメモばさみをカードの長さに合わせて切っただけです。
- 動画作成はいろいろ使ってみましたが、今はMacの iMovie のみです。プロの業務用となると話は別でしょうが、もともとMacにインストールしてある無料のソフトだし、簡単で使いやすく、アマチュアレベル(ホームビデオや一般企業のプレゼン程度)では必要十分な機能がそろっています。